リモーネ

映画。小説。

RSS     Archives
 

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 

ファーゴ

 
思いつめた顔をして・・。車椅子の人にこう言われたら・・。

“最近眠れないんです・・。真夜中にヘンな音が気になって・・”

やはり、どう考えてもこう思いますよね・・。

ノイローゼ…。幻聴?

別に頭がイカレてるとかそんなんじゃなくて…。

眼も内臓も悪く、そして、転んで骨折という惨めな事故で長期入院してたら、誰でも気分が滅入るのは当たり前だ・・。

やはり・・。この人も心に溜まるものがあったのか・・。
と、勝手に勘違いして・・。そして、何かカッコ良く美しい励ましの台詞と笑顔を用意していたら・・。
そのオバちゃんは声を潜めて、憂鬱そうに囁いたのだった。

“隣の人が・・。旦那と毎晩やるのよ・・。ギットン。バッタン・・”

はぁ?

なんですと!

“もう、ギットン、バッタン・・。あの音がイヤでイヤで・・。眠れないわよ・・”

よく聞いてみたら、骨折した夫婦(共に入院している)が、消灯後、子作り(というか交尾?)を隣でする気配と音が気になって眠れない・・というではないか。


そんなの看護婦さんにナースコールでもすりゃいいじゃないですか・・とか言うと、オバちゃんは言った。
“ちょっと夫婦で話してただけ・・とか言うのよ…。でも絶対にやってるわよ・・。ギットン、バッタン・・ギシギシ・・もう眠れないわよぉ・・”

私はその時、言いましたよ。
カーテン開けてやったらいいじゃないですか。その真っ最中に。

しかし、そんなことは出来ない・・とオバちゃんは言った。

あら、観たいわ知りたいわ。どの体勢で骨折した者同士ががんばってるのか・・。
と、私なら寝ぼけたフリして開けますけどね・・。

つか、ほんとにやってんのかなぁ…。
という疑問も沸くんですけど・・。しかし、よく考えたら夫婦だし、暇だし、そりゃやるかもしんないですね・・。

でも、眠れぬ理由って、普通は、“将来のことを考えて不安”とか“体調が悪くて眠れない”だと思うよなぁ・・。

でも、そりゃ、脳内で勝手に画一的に考えることであって、現実はいつもどっかズレてる・・。
妙なおかしさ・・を含んでる。

それが面白いと思う。

聞いた話ですが・・。
お葬式で、自分のちっちゃい娘が、棺おけの中のおじーちゃんの鼻を握り締めて泣いているんで、その子の父親はこう思ったんだって。
おじぃちゃん子だから、哀しくて離れたくなくて泣いてんだなぁって・・。
しかし、真相は・・。

孫が手を放すことなく泣いていたのは・・。

おじーちゃんのお鼻が握ったはずみで、ボキッと折れて歪んでしまったから、それを指摘されて怒られるのがイヤで泣いてたらしい・・。

まぁ、それなりにおじぃちゃんの死んだことは哀しいけど・・。そんなことよか、お鼻を壊しちゃったことが気になったという・・。

まぁ、大人なら、どうせすぐ燃やすんだからいいんだよ、鼻くらい曲がってても…と開き直れるんですけどね…。


いや、なーんか・・。
私、リアリティというか・・現実的なエピソードのズレたおかしみ・・って好きですね…。

ドラマとか小説とか漫画とか、そういうリアリティがあれば、もう、そこで満足しちゃうところもある。

コーエン兄弟の映画、【ファーゴ】を観た時に、ヘンなリアリティとヘンな笑いとヘンな恐さとか感じて・・。
好きとかキライ・・じゃなくて。
なーんか・・、妙に、リアルなところが気になるんだよなぁ・・。と思って…。

この空気感は、日々、自分が感じるものと似てるなぁと思いました。

妙なおかしさと・・。奇妙な野蛮さ・・。

夜、お見舞いに行った時、前から歩いてきた40歳くらいのおばさんが、いきなり頭ぶん殴ったりするんですよ。
いや、私は、逃げたけど・・。なんか奇妙な空気を察知して電話ボックスに入って逃げたら、後ろを歩いてた人が帽子を奪われて泣いていた。
館内に入ると、寝巻き着ている50歳くらいのオバさんが泣いていた。痛かったらしい。殴られて・・。

“あらあら・・。ごめんなさいね・・。大変でしたね・・”
と、ニコニコ笑う美人ナースの笑顔がとっても作り物めいていて、しかも、笑っちゃいけないなぁとか我慢しているのも丸分かり・・。

深刻になり切らない・・。このぬるい空気。
よく考えたら頭おかしい女に殴られた不運な人の惨めな姿はとっても気の毒なんだけど・・。どっかおかしい…。クスっと笑いたくなる。

ホラーなんだか、コメディなんだか・・よく分からない日常の壊れているのに、ヘンな面白みがある感じがね・・。

ファーゴ見てて、なんかそういうところが似てるよなぁと思いました。

ストーリーとかよく覚えてなくて・・。

このヘンなおかしみ・・は、リアルだなぁと思って、まぁ、私は、そういうものを観たら、これこれ・・これですよ…とか思う。

でも、バレエとかオペラとかコンサートなどが好きな人は、意図的に日常とは離れた世界を堪能しようっと思って観ているんだろうなぁ・・。
その感覚は分かります。及川ミッチーのコンサートなんかも、頭のいいミッチーが作るワンダーランドなんだろうなぁ・・。
理想郷を求めるような感覚・・。



私は、ヘンなリアルな・・ズレたような現実の面白さ(惨めな物悲しさみすぼらしさ・・の中にある笑い)を追求派なんですけど・・。
だから、あんまりロマンちっくちゃんだとイヤだし、シリアスに眉間にシワを寄せてるのもしんどいなぁと思う。

他の人はどうなのかなぁ・・。

スポンサーサイト
プロフィール

美緒

Author:美緒
ブログを楽しんでもらえたら幸いです。



最近のコメント

最近のトラックバック



ブロとも申請フォーム

ブログ内検索



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。